注文住宅のキッチンでは、決めなければいけないことがたくさんあります。それぞれの選択肢も多く悩むこともあるかもしれませんが、納得がいくまでじっくりと検討することが大切です。決めるときのポイントも併せてご紹介しますので、順番に見ていきましょう。
キッチンのレイアウト
キッチンのレイアウトを決めるときには、自分がキッチンで作業をするときに何を求めるかを明確にするといいでしょう。
コミュニケーション重視で、キッチンで作業中も家族と会話したい人や目を離せない小さな子ども・高齢者・ペットがいる人には、対面式キッチンがおすすめです。テレビを見ながら作業したい人にも対面式は向いています。アイランドキッチンやペニンシュラキッチンにすると作業中も孤立することなく、周りの人とのつながりを感じることができます。
作業効率重視で一人で黙々と作業をしたい人には、壁付けキッチンがおすすめです。壁付けのI型にすると、目の前が壁なので料理に没頭することができます。キッチンのすぐ後ろにダイニングテーブルを配置する場合が多いため、配膳や片付けのときも動線がスムーズです。
コミュニケーションや作業効率以上に、見た目を重視する人には、アイランドキッチンがおすすめです。素材や色選び、サイズにこだわることで、LDK空間の中心的存在になります。キッチンに立つ時間が長い人もそうでない人も、見た目が自分好みのキッチンだとそれだけで気分が上がり、愛着もわくでしょう。
間口・奥行き・高さなどのサイズ
キッチンの間口・奥行き・高さなどのサイズは、よくキッチンを使う人の体格やキッチンスペースの広さなどを考慮して決めるのがいいでしょう。
間口
システムキッチンの標準的なサイズは、奥行き65cm×間口255cm×高さ85cmです。間口とは横幅のことで、160㎝~300㎝までさまざまなサイズ展開があり、15㎝単位で選べるメーカーが多いですが、中には数cm単位で細かく指定できるところもあります。
間口が必要以上に長すぎると横移動が長くなり、どうしても無駄な動きが増えてしまいます。冷蔵庫を置く位置や必要な作業スペースの広さを考慮しながら、間口のサイズを決めてください。
奥行き
壁付けタイプのI型やL型のキッチンの奥行きは60cm~65cm、対面式のアイランドキッチンやペニンシュラキッチンの奥行きは75㎝~80cmが標準です。奥行きがある方が料理を盛り付けるときに使えたり、買い物から帰ってきたときの荷物の一時置き場として使えたりと何かと便利です。しかし、広いキッチンスペースを確保できないときや、通路幅を広めにしたいときは、あまり奥行きを深くしすぎない方がいいでしょう。
高さ
最適な高さは「身長÷2」に5cm足した数字と言われています。
計算式: 身長(cm)÷2+5(cm)
最近ではもう少し高い方が腰に負担がかからず料理ができるという説も。
注文前にショールームで実際のキッチンを使って、自分の最適な高さを確認しておくと失敗が防げます。
扉やワークトップなどの素材や色
キッチンの中で大部分を占める扉やワークトップは、キッチン全体の印象にも大きく影響するため、失敗したくない部分でしょう。
扉は水滴や汚れが飛び散ることも多いので、お手入れのしやすさや耐久性を重視して素材を選びたいところです。ワークトップは調理したり物を置いたりと最も頻繁に使う場所なので、耐久性や耐熱性、傷つきにくさなども考慮しながら素材を選ぶといいでしょう。
扉やワークトップの色を選ぶときには、壁や床の色、リビングやダイニングの雰囲気と合うかどうか考えながら検討しましょう。キッチン全体のバランスを取ることも忘れないようにしてください。
HPL(ハイプレッシャーラミネート)
キッチンが日々の生活で直面する過酷な環境に対して、最も高いパフォーマンスを発揮する材料です。水や火、汚れなどに強く、耐久性に優れているだけでなく高いデザイン性も併せ持っています。
塗装
塗装タイプの扉は、基材にウレタン塗装やエナメル塗装などのカラー塗装を施して作られます。艶消しや鏡面といったきれいな質感が特徴です。カラーバリエーションも豊富で、高級感や清潔感もあります。
塗装タイプの扉には水滴や汚れが入り込む隙間がないため、化粧シートタイプの扉よりも耐久性に優れています。
天然石
天然石の扉は、石の質感がキッチンに高級感・重厚感をもたらします。模様や色は同じものが2つと無い天然素材ならではの、自然がもたらす表情を楽しめます。
ステンレス
ステンレス製の扉やワークトップは、錆に強く、耐久性に優れているのが特徴です。汚れもつきにくく手入れも簡単ですが、細かなキズや水垢が目立ちやすいものもあります。
表面の仕上げ方にはさまざまな方法があり、仕上げ方の違いによって質感や光沢に違いがでてきます。全体的にスタイリッシュな印象を与えます。
シンクやコンロなどの設備
シンクや水栓、コンロなどの基本的な設備に加え、人気の食器洗い乾燥機や浄水器といったオプションで追加できる設備も多数あります。それぞれの家庭に必要なオプションを追加することで、キッチンがさらに便利で使い勝手のいいものになります。
シンク
シンクが狭すぎると洗い物がしにくく、地味にストレスになるため注意が必要です。排水口は水の流れやゴミのまとまりやすさを確認するようにしてください。
シンクは洗い物の量を考慮して、形やサイズを考えるといいでしょう。シンクの素材としてはステンレスやHPL(ハイプレッシャーラミネート)があります。耐熱性や耐久性、強度などを考慮して、ワークトップ同様、長くきれいな状態で使える素材を選びましょう。
水栓
ボタンを押すタイプ、レバーをひねるタイプ、タッチレスで水が出るタイプなど水栓にもさまざまな種類があります。自分にとって使いやすいのはどれか、食器を洗うときに邪魔にならないか、水量はちょうどいいかなどを考慮して決めてください。
コンロ
IHとガスの2種類あります。どちらのメリット・デメリットも知ったうえで、何を重視するかで選びましょう。
IHは掃除がラクなことと、夏場の料理が快適なことが大きなメリットです。デメリットとしては、火加減が難しいことやフライパンが振れないことなどが挙げられます。
一方ガスは、停電の影響を受けないこと、「炙り」ができることがメリットです。デメリットは、掃除がしにくいことや火の消し忘れによる火事の可能性があることです。
デザインにこだわりのない方やグリルを頻繁に使わない方は、価格重視の安いものでも十分です。低価格のものはグリルが片面焼きだったり、色が黒しか選べなかったりしますが、気にならなければ安くても機能的には何ら問題はありません。
アプリと連動していたり、お手入れのしやすい素材が天板に使われていたりすると、価格もアップします。便利な機能を使って料理をしたい人には、ハイスペックな高価格コンロを選びましょう。
レンジフード
レンジフードには、ブーツ型・スリム型・フラット型があり、見た目だけでなく、掃除のしやすさにも違いがあります。見た目重視なのか、お手入れのしやすさ重視なのか、よく検討しましょう。
対面式のキッチンでは、匂いや煙が部屋に広がりやすいという特徴があります。レンジフードも丸見えのため、高性能でインテリアの一部として馴染みやすい見た目のものを選ぶといいでしょう。
フロアキャビネット
フロアキャビネットは、キッチン本体の収納スペースのことで、コンロやシンク、作業スペースの下にあります。食器洗い乾燥機やオーブンなどビルトイン式の設備を採用するかしないかで収納として使えるスペースが変わるため、本当に必要なものだけを選ぶようにしましょう。
食器洗い乾燥機
共働き世帯に特に選ばれているのが、食器洗い乾燥機です。ビルトイン式でシステムキッチンに組み込むため、見た目もすっきりします。手で洗うよりも水道代が節約できるものが多いです。
食器棚・収納庫
キッチン本体と同じメーカーで揃えることで、色や質感が同じになり、キッチン全体に統一感が生まれます。食器以外にも家電や調味料なども入れておけるため、あると便利です。
ゴミ箱
ゴミ箱もビルトイン式にすれば、見た目もすっきりします。シンクの下に設置すればゴミも捨てやすく、リビング側からも見えません。
浄水器
料理や赤ちゃんのミルク用に清潔な水は常に常備しておきたいものです。重たいミネラルウォーターを購入し、家まで持って帰ってくる手間も時間も省けます。