リハビリ医療の最前線で、効果が見込めるとの理由から、トーヨーキッチンスタイルのINOが選ばれた。一体どのように使われ、どんな効果があるのか。導入を決めた、ねりま健育会病院の院長である酒向正春さんに話を伺った。人が人間らしく生きていくことにも配慮した治療を行う、脳神経外科医からリハビリの世界に転向した注目の医師だ。その新しい取り組みがNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介された、チャレンジャーでもある。
取材に訪れたのは、開業直前の時期。キッチンは、180ものベッドを備える大きな規模の病院の、広いリハビリルームの一角に設置されていた。同じ空間には、ベッドや運動用の機器が並んでいる。窓からは豊かな外光が差し込み、その先には美しい庭が。病院というより、保養所といった雰囲気の心地よい施設だ。幅2.4m、奥行き1.05mのINO があるのは、その部屋の入り口近く。調理するのと反対側には、2脚のビーシー エヌ スツールが置かれていた。
酒向先生は話す。
「病気の治療を受けた患者さんが家に戻って、その人らしく残りの人生を生きていくには、再び料理ができるようになることも重要です。そうした再出発をサポートするのが我々の仕事です」
ねりま健育会病院は、重度の患者さんを多く受け入れる施設だ。キッチンを使ってのリハビリは、半身が動かない人を想定している。
特に利き手と反対の手だけで料理を作るのは、相当な負担である。だが、家族に自分の料理を食べてもらう、「誰かの役に立つ行為が、生きる自信となり、そうした気持ちがリハビリの効果を上げる」という。
しかしリハビリは、「楽しくないと、やりたくないものです。そこでデザイン性の高いトーヨーキッチンスタイルのキッチンで、モチベーションを上げてもらおうと考えた」と。
これまでの病院で行われていたのは、建物の隅の暗いスペースに置かれた、昔ながらのキッチンでのリハビリが殆ど。そこでの練習と比べたら、やる気は大きく違うだろう。
「好きなことをやりたいという前向きな気持ちがあれば、脳の一部が壊れていても、残った脳神経細胞で失われた機能を補うこともある」とも。キッチンのハイスツールも「普通はリハビリに使わないが、『あのお洒落な椅子に座れるようになりたい』という、高い目標がリハビリに役立つ」と酒向先生は考える。
もっともハイセンスなキッチンで料理するのは、特別なものではなくて家庭の味。普段から口にするものが作れないと、家に戻って役に立たないからだ。このキッチンを目の当たりにして、気持ちが変わるのは患者さんだけではない。
病院で働くスタッフの皆さんも、「どんなプログラムを作ろうか、ちょっとワクワクしています」と、顔を輝かせていた。
今回リハビリの最前線を取材して気づいたのは、優れたデザインには人生を前向きに変える力があること。そして誰かのために料理をすることは、人として必要とされていることを実感できる重要な行為、ということだった。そんな人間として根源的な部分に、トーヨーキッチンスタイルの製品は深く関わっている。
(取材・文・写真 ジョー スズキ)
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