アイランドキッチンに憧れがあるものの、「我が家はマンションだから引っ越さない限り無理」と思っている人は多いかもしれません。では実際のところ、マンションにアイランドキッチンを設置することはできないのでしょうか?
アイランドキッチンは、戸建てはもちろんマンションにも設置することは可能です。もともとアイランドキッチンが設置されているマンションがあるのはもちろん、リフォームによって設置されることもあります。
ただし、建物の防音性や耐震性の問題から、所有者の専有部分のリノベーションに関して規制が設けられている場合があります。後からトラブルとなることを防ぐためにも、事前にマンションの管理規約を確認することは必須です。「アイランドキッチンにリノベーションするにあたって申請が必要であるか」「間取りの変更や材料に関して制約はないか」を確認して、わからないことがあれば、管理会社に問い合わせましょう。
また、管理規約を確認する際、リノベーション可能範囲についても確認しておくと安心です。専有部分であればどこでも工事してOKか、共有部分の工事が発生した場合は申請すればOKかなど、細かく確認しておくことが望ましいでしょう。
続いては、マンションにアイランドキッチンを設置する際の注意点をみていきましょう。
①どこにでもアイランドキッチンを設置できるわけではない
キッチンを設置するにあたっては、配水管が建物のどこを通っているのかを確認することが不可欠です。戸建ての場合、1階の排水管は床下を通って建物の外へ、2階の排水管は基本的に1階の天井裏を通って建物の外へとつながっています。
一方、マンションの場合、各住戸の水まわりとつながる排水管、給水管を通すための空間である「パイプスペース」に集まるよう設計されています。パイプスペースは、マンションの間取り図などでは頭文字をとって「PS」と表記されているので見たことがある人も多いかもしれませんが、基本的に各住戸の玄関前に設置されています。なぜかというと、住人がいないときでも配管を点検できるためです。
ただし、物件によってはパイプスペースが部屋の中央に設置されていることもあります。この場合、パイプスペース上の空間を自由に使うことが難しくなります。また、パイプスペースはマンションをリフォームしたいからといって動かすことは原則できません。そのため、キッチンの移動範囲に制限がかかります。
②キッチン周りのみ床を高くしなければならない可能性が高い
パイプスペースの位置に問題がない場合、どこにでも自由にアイランドキッチンを設置できるかというとそうではありません。なぜなら、排水管には勾配をつけないと流れが悪くなるためです。キッチンを設置したいスペースがパイプスペースから遠ければ遠いほど、勾配の角度を広げていかなくてはならなくなります。
キッチン部分の床を上げることで、勾配をつけて排水管を通すことは可能ですが、ダイニングやリビング、廊下との間に段差ができることは避けられません。そうなると、せっかくアイランドキッチンにリフォームしてダイニング、リビングにスムーズに移動できるようになるかと思いきや、いちいち段差を気にしないといけないため不便だと感じる可能性もあります。
これを回避する方法としては、戸建てを建てる際の設計段階やマンション購入時のタイミングでアイランドキッチンへのリフォームを含めた全面改装をおこない、全体の床を上げるという手があります。リフォームは大規模工事となるので金額はかさみますが、バリアフリーの空間であれば、年齢を重ねてからも暮らしに不自由を感じにくいでしょう。また、骨折や捻挫などで歩きにくい場合にも、キッチン部分の床が高いと不便に感じることがあるかもしれません。
③コンロの位置を変えられない場合がある
水まわり同様、コンロの設置に関しても一定の制限があります。まず、既存の換気口が壁付近に設置されている場合、外部とつながっている部分を動かすことは非常に難しいです。代わりに、換気ダクトをコンロのうえまで延長させるしかありませんが、梁が通っている場所には換気ダクトを通すことができないため、その場所を避けてキッチンの位置を決める必要があります。
④スペース確保のために部屋数を減らさなければならない場合がある
アイランドキッチンは、壁付けキッチンなどと比べて広いスペースがないと設置することができません。壁から離して設置して、左右どちらも通れるようにするためには、部屋の幅が広くなくてはいけません。大人であれば最低でも80cmはほしいところです。つまり、キッチン本体とは別に、80cm×2=160cmの幅が必要という計算になります。「うちの家族はスリムだからもう少し狭くても大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、通れるか通れないかは置いておいて、見た目にもバランスが悪くなります。
ただし、キッチン本体のサイズがコンパクトなものを選べばバランスの問題は解消が可能。もしくは、シンクのみをアイランドにするという方法もありますし、片側のみ壁に接している「ペニンシュラキッチン」にすれば、見た目問題も導線の確保問題もクリアできます。
また、背面スペースは、一人でキッチンに立つ場合でも最低限75cm~85cmは確保したいところ。冷蔵庫の開閉を考えると90cm以上は確保できることが望ましいでしょう。
コンパクトなキッチンを選ぶなどしても空間が狭く感じられる場合、部屋数を減らしたり、仕切り壁をなくしたりすることで理想のアイランドキッチンを設置することは可能です。ただし、この場合、フルリノベーションで間取りを変えることになるので、そのぶん工事期間が長くなりますし、リノベーション費用は高くなるでしょう。
⑤電気の供給量を変更できない場合がある
アイランドキッチンへのリフォームを機に、ガスコンロからIHクッキングヒーターに乗り換えたり、食器洗い乾燥機を導入したりしたいと考える人は多いです。しかし、マンションの場合、建物全体に対しての電気供給量に余裕がなく、各住戸で電気供給量を変更できないことがあります。そのため、IHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機の導入を検討している場合、電気供給量に関して条件を満たせるかどうか事前に確認することが不可欠です。
IHクッキングヒーター、食器洗い洗乾燥機の消費電力の目安は以下の通りです。
・IHクッキングヒーター(200V):20A~30A、最大使用時58A
・食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ):13A
参照:東京電力エナジーパートナー TEPCO「主な電気機器のアンペアの目安」
また、現在の契約アンペア数に関しては、各住戸に電気を分配している分電盤や毎月の検針票で確認できるので、それらと照らし合わせて供給量が足りないと考えられるなら、契約アンペア数を上げることができるかどうかを管理会社に確認しましょう。
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