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【名作デザイン図鑑】半世紀以上愛される不朽の名作収納カルテル「コンポニビリ」

デザインや機能性に優れ、時代を超えて愛される名作家具や照明たち。実用品を超えて芸術作品としても評価されています。

数ある名作の中から今回は、1967年に誕生したKartell(カルテル)の収納「コンポニビリ」を紐解きます。

コンポニビリ

デザイン:アンナ・カステッリ・フェリエーリ|Anna Castelli Ferrieri|イタリア
1967年|収納

コンポニビリ

INDEX

  1. 近代家具の先駆け
  2. プラスティックの時代
  3. スペースエイジの革命児
  4. モジュールの功績
  5. デザイン史に名を刻む名作
  6. コンポニビリとラウンドエレメント
  7. 歴代コンポニビリ
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近代家具の先駆け


発売から半世紀以上、コンポニビリは近代家具の先駆けとして誕生して以来、基本的なデザインや素材を変えることなく、現在もベストセラーとして君臨し続けています。

ミッドセンチュリーに開発された最先端のプラスティック素材と共に産声を上げ、最も成功した近代家具のひとつとして知られています。

プラスティックの時代


当時最新のプラスティック素材であるABS樹脂は主に機器や家電の部品や外装に使われる素材、材料として使われていました。

ABS樹脂を収納家具として世界で初めてデザインしたのが、Kartell|カルテルのデザイナーでもあり経営者でもあったアンナ・カステッリ・フェリエ-リでした。素材や材料だったABS樹脂を家具として大胆に取り入れたことで、インテリアとして一般家庭に深く入り込むことに成功します。1967年発表当時の名前は「モビリ4970」、モビリはイタリア語で「家具」を表しています。

スペースエイジの革命児


アイコニックでキュートなデザインにも理由があります。コンポニビリに直線は使われておらず、全てが曲線で構成されています。例えば素材が木材であれば削ったり曲げたりするためのコストや無駄が発生しますが、プラスティックであれば無駄なく容易に曲面を作り出すことができます。今では当たり前のあのアイコニックな丸いデザインも、樹脂のみで構成された家具だからこそ誕生した革命的なデザインなのです。

1960~70年代には曲面を多用した近未来的なフォルムと、原色を取り入れたサイケデリックなカラーを特徴とした「スペースエイジ」と呼ばれるインテリアのテイストが黄金期を迎えます。コンポニビリはスペースエイジの中核として存在感を放っていきます。

モジュールの功績


コンポニビリに取り入れられたのはモジュールの概念です。パーツをユニット化し、2段、3段と同じユニットを繰り返すことでサイズバリエーションを調節しやすくする概念です。

モジュールの概念はデザイナーとしてだけでなく経営者でもあるアンナにとって重要な要素でした。同じパーツを繰り返すことで構造をシンプルにし、使う金型を少なくできます。構造をシンプルにすれば、不良や故障も防ぎやすく、削減したコストを素材に投下し高い品質を確保することができるのです。工業デザインとして数々の賞を受賞し「優秀」と言われた理由は、デザインが画期的でユニークなだけではありません。

何を隠そう「コンポニビリ」は英語に訳すと「モジュール」なのです。

デザイン史に名を刻む名作


72年にニューヨーク近代美術館でコンポニビリがピックアップされると、スペースエイジという枠を飛び越え、イタリアモダンデザインを代表するプロダクトとして大きく羽ばたきます。

コンポニビリは絶対的な先進性を世界に示し、デザイン史に名を刻む名作としての地位を確立しました。

コンポニビリとラウンドエレメント


コンポニビリと兄弟的な関係を持っているのが「ラウンドエレメント」です。モジュールの概念がコンポニビリ以上に色濃く反映された製品です。
デザインはよく似ていますが一回り大きいサイズで、自分の好きなようにパーツを組み合わせて完成させたり、パーツを追加してサイズを変えることができます。あのアイコニックな円柱ではなく、四角柱のスクエアエレメントも存在します。
そして、今のコンポニビリはこのラウンドエレメントから派生した製品なのです。

歴代コンポニビリ


誕生して以来、デザインや素材を変えずに半世紀以上ベストセラーであり続けるコンポニビリも、この50余年の間に様々なモデルが生まれています。

素材であるプラスティックの代名詞的なABS樹脂も、近年は時代性を反映したリサイクルや環境性に配慮した素材に変革しています。Kartell|カルテルはプラスティックのスペシャリストであるからこそ、世界に先駆けてこの課題にも積極的に取り組んでいます。ジェネリックな製品には無い、グローバルなレベルで地球環境を見つめた要素を持っています。

コンポニビリマット

コンポニビリスマイル

コンポニビリ プレシャスカラー

2017年には50周年のアニバーサリーとしてトップデザイナー達がコンポニビリを題材にトリビュートデザインを発表しました。

その他、歴代のコンポニビリたちをご紹介します。

コンポニビリビオ

コンポニビリ ダブルジェイ

コンポニビリ インテルミラノ

コンポニビリウノ

コンポニビリ3

φ32/H58.5cm

オンラインストアで見る

コンポニビリ2

コンポニビリ4

コンポニビリ2マット

コンポニビリ3マット

コンポニビリスマイル

コンポニビリ(ラウンドエレメントLH)

コンポニビリ(ラウンドエレメントL3)

コンポニビリ(ラウンドエレメントH2)

コンポニビリ(スクエアエレメントH)

コンポニビリ(スクエアエレメントL)

コンポニビリ(スクエアエレメントH)

コンポニビリ(スクエアエレメントドア)

コンポニビリ(キャスター4個)

アンナ・カステッリ・フェリエーリ|Anna Castelli Ferrieri

アンナ・カステッリ・フェリエーリ|Anna Castelli Ferrieri

1918年ミラノ生まれ。工学、建築、デザインの分野で高い評価のミラノ工科大学で学んだ最初の女性としても知られています。卒業後は建築雑誌「Casabella|カザベラ」などの編集者として実績を積みました。1949年に夫であるジュリオ・カステッリと共に「Kartell|カルテル」を設立。化学者であるジュリオは当時最先端の高品質プラスティックを開発し、工業材料だったプラスティックを革新的な家具としてデザインしたのがアンナでした。

在学時にはイタリア合理主義建築のフランコ・アルビニやバウハウスの影響を受け、シンプルで機能的、厳格な美に重点を置いていました。幾何学的なフォルム、大胆なカラー、洗練された仕上げをカルテルの基礎として確立させました。1967年には後の金字塔となる「コンポニビリ」をデザイン、1972年にはニューヨーク近代美術館で特集され、世界的な成功の足掛かりとしました。

新素材を用いた技術革新に重点を置く先駆的な建築家でもあり、ミラノ郊外のカルテル本社も彼女の作品のひとつです。カルテルのインハウスデザイナーとして革新的なデザインを先導し、イタリアのモダンデザイン全体をリードしました。ミラノトリエンナーレ金賞、コンパッソドーロをはじめとする数多くの輝かしい受賞歴があります。

豊かな才能を持っているだけに建築家やデザイナーと、妻、母としての役割のバランスを取る難しさに直面し、今現在でも議論されるこの問題に対して活動する側面も持っていました。時代を先取りする先駆的な考えと才能を兼ね備えていたことが分かります。

これまでの「名作デザイン図鑑」はこちら。

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