続いては、マンションのキッチンリフォームにおける注意点をみていきましょう。
キッチンリフォーム前にマンションの管理規約を確認
マンションには、使い方を定めた「管理規約」が存在します。この中に、リフォームに関する規約が記されている場合があります。たとえば、工事の際におこなうべき騒音対策、工事時間、搬入・組み立てに関する規約、ディスポーザー設置に関する規約のほか、床材、電気の容量やガス給湯器のサイズなどの制限が記されている場合もあるので、これに違反しないようにリフォーム内容を決めなければなりません。
規約に違反した場合、規約に則った設備に直したり原状回復したりしなくてはならなくなるため、金銭的にも時間的にも大変です。必ずリフォーム前に確認しましょう。また、管理組合への届出に関する規約が記されていることも多いので、必要に応じてリフォーム前に届出を提出しましょう。
キッチンが搬入可能なサイズであるかどうか確認
キッチンをリフォームするにあたっては、もともとのキッチンを解体して搬出した後、新しいキッチンを室内に搬入することが必要です。これに関して、マンションの管理規約とは別に確認が必要なことは、キッチンのサイズです。エレベーターに入らないサイズ、玄関を通らないサイズであった場合、クレーン車でベランダから搬入する必要があります。その場合はもちろん、搬入費用が別途発生します。
ただし、システムキッチンのなかには分解して運ぶことができるものもあります。搬入を諦めず、施工業者やメーカーに確認してみましょう。
電気容量を確認
リフォーム計画を進めていくうえでは、電気容量を確認することが必須です。戸建てであれば電気容量を増やすことも可能ですが、マンションの場合、建物全体に対する電気の供給量が決められているため、各住戸に供給できる電気容量に上限が定められているのです。
「現状の電気容量で足りているから問題ない」と思うかもしれませんが、IHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機を導入すると、容量が足りなくなる可能性が高いといえます。その可能性を考えずにリフォーム計画を進めてしまうと、キッチン家電を使うたびに暖房器具などを消さなければならなくなることもあるかもしれません。
排水管の勾配を十分確保できるか確認
各住戸からの排水は、床下の配管を流れてパイプスペースにある排水管を通って、階下へと流れ落ちていきます。排水が配管から排水管までスムーズに流れるためには勾配が必要ですが、床下の空間が狭い場合など、十分な勾配がとれないことがあります。排水管の勾配を十分にとれるかどうかを自分で判断することは難しいため、リフォーム会社に自宅の図面を見てもらって相談するといいでしょう。
ダクトのルートを通せるかどうか確認
キッチンのレンジフードから吸い込まれた排気は、天井裏に設置されているダクトを通って外にでる仕組みです。そのため、リフォームによってキッチンの位置が変わった場合、レンジフートからダクトの出口へのルートを変更する必要があります。
しかし、どんなルートでもダクトを通せるわけではありません。なぜかというと、天井には梁が通っているため、その部分を避けてルートを設定する必要があるからです。そのため、リフォーム前には、理想的なルートで通せるかどうかを確認することが不可欠です。
近隣住民に挨拶まわりをする
マンションのリフォームは、戸建てのリフォームと比べて近隣とのトラブルが起きる可能性が高いです。リフォーム期間中は、騒音だけでなく振動やニオイも発生するので、近隣住民からは煙たがられる可能性が高いといえます。特に、コロナ禍以降は在宅で仕事をする人も増えているため、平日の日中も自宅で過ごしていることから、不快感をあらわにされやすいかもしれません。トラブルに発展することを防ぐために、リフォーム会社が周辺住民に挨拶まわりをしてくれるケースも多いですが、それとは別にご自身でも挨拶に伺うことが望ましいといえます。