オープンキッチンの収納力を上げる方法｜施工事例も紹介

おしゃれで開放感があり、コミュニケーションも取りやすいオープンキッチンは、人気のキッチンタイプです。しかし、収納が足りなくなることを不安に思い、オープンキッチンの導入を踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、オープンキッチンの概要やメリット・デメリット、オープンキッチンの収納力を上げる方法などを解説していきます。オープンキッチンの収納アイデアを知り、収納に対する不安を一緒に解消していきましょう。

オープンキッチンとは、リビングやダイニングとの間に壁や仕切りがないキッチンのことです。キッチン・リビング・ダイニングが一つの大きな空間になることから、開放感があります。キッチンで調理中もリビング・ダイニングを見渡せ、家族やお客さまともコミュニケーションが取りやすいのが特徴です。

キッチンとリビング・ダイニングを仕切る壁がなくオープンなことから、吊戸棚（天井や壁に取り付けられる扉付きの棚）の設置が難しく、収納が不足しがちになります。

使いやすいオープンキッチンにするためには、収納スペースを確保し、出し入れしやすいよう整理整頓を心掛けることが大切です。まず、オープンキッチンにはどんな収納個所があるのか、見ていきましょう。

フロアキャビネット

フロアキャビネットとは、シンク下と作業スペース下、コンロ下の収納を指します。シンク・作業スペース・コンロそれぞれの場所でよく使うものを、その下や近くに収納するのが一般的です。

フロアキャビネットには、引き出しタイプと開き扉タイプの2種類があります。調味料や調理器具などよく使うものは上部に設置された引き出しに、あまり使わないものは下部に設置された引き出しに仕舞います。フライパンや鍋など大きくかさばるものは開き扉に収納するといいでしょう。

カウンター下

キッチン本体のリビング側をカウンター下収納として利用できます。カウンター下をすべて収納にすれば、広い収納スペースを確保できます。

扉付きなら散らかりやすいおもちゃや普段あまり使わない保存食を収納したり、扉なしなら魅せる収納として雑誌や小物を飾ったりしてもいいでしょう。

吊り棚

オープンキッチンに設置される吊り棚とは、天井に取り付けることで空間を有効活用できる収納方法です。目線よりも低い位置にあると視界が遮られてしまうため、目線より高い位置に設置されるのが基本です。

吊り棚はシェルフ型の魅せる収納であることが多く、収納力は期待できません。しかし、扉が付いておらず見た目も軽やかなため、オープンキッチンの一つであるアイランドキッチンと相性がよく、人気があります。

おしゃれなボトルに入った調味料や食材を置いたり、お酒好きならグラスホルダーを設置したりしてもいいでしょう。

背面収納

背面収納はキッチン背後の壁に沿って設置される収納のことで、収納力が最大の魅力です。食器や食材だけでなく、調理家電を置くためのスペースも選べるため、キッチンが片付きやすくなります。

キッチンに立って作業する際に、振り返るだけでものを取り出せるため、動線が良いのも魅力です。

また、背面収納の色や素材をキッチン本体と合わせることで、空間に統一感が生まれ、おしゃれなキッチンを演出できます。キッチン本体だけでは収納スペースに不安がある人にオススメです。

ワゴン

キッチンワゴンは、キャスター付きの収納家具です。食品のストックスペースとして使用されることが多く、奥深くに仕舞い込むことがないため、在庫管理がしやすく買いすぎることもありません。

カトラリーや普段からよく使う食器を入れておけば、キッチンからダイニングテーブルまでの移動も楽にできるのでオススメです。

作業スペースが狭いキッチンの場合、キッチンワゴンに水切りかごを載せておくと、作業スペースが圧迫されることもありません。

幅の狭いスマートタイプもあり、冷蔵庫と壁の間などちょっとした隙間も有効活用できます。ネットやフックなどをキッチンワゴンにかければ、収納力もアップします。

収納が不足しがちなオープンキッチンですが、工夫次第でオープンキッチンの収納力を上げることは可能です。ここからは、オープンキッチンの収納力を上げる具体的な方法を見ていきましょう。

使用頻度に合わせて収納箇所を分ける

使用頻度に合わせて、収納個所を分ける方法です。使用頻度が高いものは、腰より上に収納しておくことが重要です。ものの出し入れの際に毎回腰をかがめていては、腰に負担がかかりますし、あまり合理的ではありません。出し入れが億劫になってしまうでしょう。

トングやお玉などのキッチンツールは、マグネットやS字フック等で吊るしておくと、すぐに使えるので便利です。よく使う調味料は、キッチン上のコンロ付近にまとめてディスプレイしてもいいでしょう。

ただし、オープンキッチンの場合は特に、リビング側からもキッチンが丸見えになるため、上にものを置き過ぎると雑多な印象を与えてしまいます。スッキリとした印象を与えるためにも、キッチンの上にものを置き過ぎないようにしてください。

背面収納を充実させる

オープンキッチン本体だけでは収納力に限りがあるため、背面収納を充実させるのがオススメです。背面収納を充実させることは、使い勝手のいいキッチンに繋がります。

複数人で作業することが多い場合やキッチン本体の作業スペースが狭い場合、背面収納にカウンターを設置しておけば、サブの作業スペースとして使えます。電子レンジや湯沸かしポットなど調理家電を置くスペースとしても、有効です。

背面収納の種類は大きく分けて、カウンタータイプの「II型」、バランス多機能タイプの「コ型」、カウンターなし大容量タイプの「大型」の3種類があります。将来的な生活スタイルも考慮しながら、自分に合った用途の背面収納を選びましょう。

食器を立ててデッドスペースをなくす

食器を小分けにして立てて収納することで、デッドスペースをなくせるため、収納力がアップします。

食器を上に重ねて収納してしまうと、一番下に置いてある食器を取り出すときに割ってしまう可能性もあり神経を使います。しかし、小分けにして立てて収納しておけば、出し入れもしやすく、倒れたりすることもないため安心です。

ディッシュスタンドはさまざまなサイズがあるため、食器に適したサイズのものを選びましょう。立てて収納すると見た目もスッキリとしますし、清潔感もあります。

収納が少ないと言われているオープンキッチンを採用しながらも、収納が充実した事例を紹介します。トーヨーキッチンスタイルのおしゃれなキッチンにも注目し、理想のキッチンの参考にしてください。

充実の背面収納でスッキリ

モダンラグジュアリーをイメージしたK様邸のキッチン。白を基調とした高級感のあるダイニング・キッチンに設置された大きな「コ型」の背面収納は、収納力も抜群です。多くのものを収納できるので、キッチンがスッキリとしています。

空間の中心的存在であるアイランドキッチンに施された、柔らかなキルティングのような「キルト」柄のデザインも目を引きます。

K様邸

あえて魅せる収納術

あえて魅せる収納術の参考にしたい、O様邸のアイランドキッチン。背面収納のカウンターには、お酒や観葉植物がきれいにディスプレイされています。

キッチン本体と背面収納の扉カラーを「メタルスモーク」に統一することで、空間に一体感が生まれています。光沢感もあり、光の反射で空間を広く見せることに成功しているキッチンです。

熊本県 O様邸

オープンキッチンの収納箇所や収納力を上げる方法を紹介しました。ここからは、収納力以外の点についても、オープンキッチンのメリット・デメリットをおさらいしておきましょう。

オープンキッチンのメリット

オープンキッチンは、開放感が一番の魅力でしょう。キッチンとリビング・ダイニングを仕切る壁がないため、広々とした空間が目の前に広がります。

キッチン自体のデザイン性が高いものが多く、キッチンもインテリアの一部として、おしゃれな空間を演出できるのも魅力の一つ。お酒好きな人なら、バーカウンターのような使い方もできます。

オープンキッチンは対面式であり、調理中もリビング・ダイニングが見渡せるため、小さな子どもや高齢者がいる家庭でも安心して見守れます。家族やお客さまとのコミュニケーションも取りやすいため、調理中に孤立することもありません。

オープンキッチンのデメリット

壁や仕切りがないことから、調理の際に発生する匂いや煙がリビング・ダイニング側へ広がりやすいのがデメリットです。匂い対策や換気システムをあらかじめ考えておく必要があります。

水はねや油はねがリビング側へも飛び散りやすいため、キッチンの手前側だけでなく、リビング側も汚れやすいのもデメリットでしょう。掃除の範囲が広くなり、時間や手間もかかってしまいます。水はね・油はね対策には、各種ガードやパーテーションなどを設置するのが有効です。

オープンキッチンはキッチンの上が常に丸見えになってしまうことから、整理整頓が苦手な人には向きません。使ったら元の収納場所へ戻す癖を付けましょう。

アイランドキッチンは特にキッチンのサイズが大きく、前後左右に通路が必要なことから、設置には広いスペースが必要です。狭小住宅やキッチンに十分なスペースが確保できない場合は、注意してください。

収納が少ないと言われているオープンキッチンですが、工夫次第で収納力を上げられます。

本記事で紹介した、オープンキッチンの収納力を上げる方法やアイデアを参考にして、収納に対する不安をなくした上で、キッチンリフォームの計画を進めましょう。

少しでも迷うことがあったら、キッチンのショールームへ足を運びプロに相談することをオススメします。専門知識を持ったプロならではの、的確なアドバイスをもらえるでしょう。収納力をアップさせたオープンキッチンを作り、あなたの理想のキッチンを実現させてください。

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