【名作デザイン図鑑】イタリア文化が息づく革新的な光の彫刻「ジョガーリ｜Giogali」

アンジェロ・マンジャロッティは、20世紀イタリアを代表する建築家・デザイナーであり、素材の特性と重力を巧みに活かした造形で知られる巨匠です。1921年にミラノに生まれ、1948年にミラノ工科大学を卒業。その後シカゴのイリノイ工科大学で客員教授を務め、フランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエらモダニズムの巨匠たちと交流し、大きな影響を受けました。

1950年代以降は建築から工業デザイン、家具、照明、彫刻に至るまで幅広く活動し、「素材の本質を見極め、構造そのものを美へと昇華させる」という一貫した姿勢を貫きました。特に、接合部をボルトや接着剤に頼らず、重力によって部材を安定させる構造を多用した点は彼の作風を象徴しています。石やコンクリートの建築構造、置くだけで成立するテーブルや棚など、重力を「敵」ではなく「味方」とする発想は、彼の作品に独自の緊張感と普遍性を与えました。

また教育者としても国際的に活動し、ヴェネチア、ハワイ、ローザンヌ、アデレード、フィレンツェ、ミラノなど世界各地の大学で教鞭を執り、素材と構造の本質を見極める姿勢を次世代に伝えました。

2012年にミラノで逝去するまで、彼は建築とデザインの両分野で数々の国際的な賞を受賞し、イタリア・モダンデザインを牽引し続けました。その作品群は、「重力と素材の真理を可視化するデザイン」として、今なお世界中で高く評価されています。